こんにちは
ファイナンシャルプランニング技能士のコロです。
先日老後にもらえる年金がいくらなのか調べる方法をまとめました。

前回は受給金額に特化した記事となっていましたが、記事を作成するにあたり、年金制度について詳しくなりましたので、「国民年金」「国民年金基金」「厚生年金」の概要をまとめました。
特に誰もが入る国民年金について詳しく調べましたので、読んでいただければと思います。
国民年金の制度を理解する
国民年金について
概要
国民年金は20歳以上60歳未満の日本にいるすべての国民が加入するものです。
フリーランスの方は自分で保険料を納めます。
一方で会社に勤め、厚生年金に加入している方は保険料を直接納めることはありません。
厚生年金に加入している方に扶養されている方も保険料を直接納めることはありません。
国民年金の保険料は?
国民年金機構のホームページによると保険料は1ヶ月あたり16,500円です。
※保険料は毎年物価や賃金の伸びに応じて調整されます。
これを40年間支払うので、16,500円*12ヶ月*40年=7,939,200円です。
40年間で約800万円の保険料となります。
国民年金の受給額は?
国民年金の受給額は満額で月額65,141円です。(令和2年度)
つまり1年間で65,141円*12ヶ月=781,692円です。
1年間で約78万円もらうことができます。
繰上げ受給や繰下げ受給を行わなければ、65歳から年金を受給することができます。
70歳まで生きた場合 78万円*(70-65)=390万円
75歳まで生きた場合 78万円*(75-65)=780万円
80歳まで生きた場合 78万円*(80-65)=1170万円
85歳まで生きた場合 78万円*(85-65)=1560万円
90歳まで生きた場合 78万円*(90-65)=1950万円
95歳まで生きた場合 78万円*(95-65)=2340万円
100歳まで生きた場合 78万円*(100-65)=2730万円
ということで、75歳以上生きると受給額が掛金を上回ります。
もちろん今後支給額が下がるリスクがありますが、人生100年時代と言われる現代においては国民年金を支払っておいた方が良いと考えます。
国民年金を満額でもらえないケース
満額で年金をもらえない主な理由
先程の国民年金受給額は満額支払われた場合で計算しました。
しかし、満額で支払われないケースがあります。
・学生時代年金保険料を払っていなかったから
・会社を転職する間、年金を支払わなかったから
・専業主婦(主夫)になった際、何も手続きをしなかったから
学生時代「学生納付特例制度」なるものを使いませんでしたか?
これ年金の支払いを免除されるのではなく、支払いを待ってくれるだけです。
ですので、「学生納付猶予」を使ってた方は10年以内に追納する必要があります。
恥ずかしい話ですけど、私も追納していなかったので、学生時代の国民年金が未納になっています。
ぜひ皆さんも満額もらえるか調べてください!
国民年金を満額もらえるかどうか確認する方法は下記記事にも書きましたので、参考にしてください。

満額にならない場合、いくらもらえるか?
満額で年金をもらえない場合、いくらもらえるのでしょうか?
年金受給額=1年間で781,692円もらえる年金*加入期間(月数)/480
40年(480ヶ月)支払えば満額ですし、20年(240ヶ月)支払えば半額しか貰えます。
つまり40年間のうち年金を支払った金額に比例して年金を受給できることになります。
国民年金が満額もらえないことに気づいた時の対処法
国民年金を満額でもらえないことがわかった方は、少しでも満額に近づける方法があります。
1.免除・猶予された保険料を追納する
「学生特例納付特例」「申請免除」「若年者猶予」等を申請していた場合、過去10年間なら年金額を満額にするために追納することができます。
2.滞納していた保険料を支払う
免除申請しないまま、滞納した場合2年間なら年金保険料を支払うことができます。
3.60歳から65歳までの間、継続して国民年金に任意加入する。
60歳から65歳までの方は、年金が満額になるまでの間、国民年金に任意加入することができます。
国民年金のお得な制度
国民年金の付加年金
付加年金とは
付加年金とは、毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せして納めることで、将来受給する年金額を増やせる制度のこと
付加年金に加入できる人
・国民年金第1号被保険者
つまりフリーランス、農業者、学生、アルバイト等で20歳以上60歳未満の方が対象となります。
・65歳以上の人を除く任意加入被保険者
ということで、サラリーマンや公務員、さらにはサラリーマンや公務員から扶養を受けている方は加入することができません。
付加年金の支払額
付加年金の支払額は月額400円です。
これを国民年金の保険料に上乗せして納めます。
20歳から60歳までの年金支払い期間中すべての期間で付加年金を支払った場合の支払額は、400円*12ヶ月*40年間=192,000円です。
付加年金の受給額
気になる受給額は200円*納付月額です。
この金額を毎年受け取ることができます。
先程の例のように40年間付加年金を支払った場合は、200円*12ヶ月*40年間=96,000円。これを毎年受け取ることができます。
つまり
10年間 400円*12ヶ月*10年間=48,000円 200円*12ヶ月*10年間=24,000円
20年間 400円*12ヶ月*20年間=96,000円 200円*12ヶ月*20年間=48,000円
30年間 400円*12ヶ月*30年間=144,000円 200円*12ヶ月*30年間=72,000円
40年間 400円*12ヶ月*40年間=192,000円 200円*12ヶ月*40年間=96,000円
支払った金額の半分の金額を毎年受給できるので、とてもお得な制度ですね。
老齢基礎年金(国民年金)の繰下げ(繰上げ)受給
国民年金は原則として65歳から受給することになります。
しかし申請すれば60歳以降であれば、繰上げて受給を開始することができます。
加えて70歳まで繰下げて受講することもできます。
当然ですが、繰上げ受給をすると、繰上げた月数に応じて定められた減額率で年金額が生涯減額されます。
逆に、繰下げ受給をすると、繰下げた月数に応じて定められた増額率で障害年金が増額されます。
この制度ですが、昭和16年4月1日以前に生まれた方は前の制度に応じて受給額が決まります。該当する方は現在80歳前後だと思いますので、既にこの制度に従って年金を受給しているはずです。
今回は昭和16年4月2日以降に生まれた方を対象とした制度を説明します。
繰上げ減額率
年金の支給開始年齢を60歳まで繰り上げた場合、支払われる年金が減額されます。
年金受給開始年齢と減額率は下記の通りです。
請求時の年齢 | 減額率 |
60歳 | 30% |
61歳 | 24% |
62歳 | 18% |
63歳 | 12% |
64歳 | 6% |
繰下げ増加率
年金の支給開始年齢を70歳まで繰り下げた場合、支払われる年金が増額されます。
年金受給開始年齢と増額率は下記の通りです。
請求時の年齢 | 増額率 |
66歳 | 8.4% |
67歳 | 16.8% |
68歳 | 25.2% |
69歳 | 33.6% |
70歳 | 42.0% |
国民年金はいつからもらうのが得なのか?
年金の繰上げ受給、繰下げ受給について説明しましたが、果たしていつから年金をもらうのが得なのか?
長生きするなら、繰下げた方が得だし、早くなくなった場合は繰上げ受給した方が良いですよね。
年金受給開始年齢と生涯年金受給額のシミュレーションしてみました。
「前提条件」
65歳から月額65,000円年金受給できると仮定
「毎月の年金受給額」
年金受給開始 | 増額率 | 毎月の年金受給額 |
60歳 | -30% | 45,500円 |
61歳 | -24% | 49,400円 |
62歳 | -18% | 53,300円 |
63歳 | -12% | 57,200円 |
64歳 | -6% | 61,100円 |
65歳 | 0 | 65,000円 |
66歳 | 8.4% | 70,460円 |
67歳 | 16.8% | 75,920円 |
68歳 | 25.2% | 81,380円 |
69歳 | 33.6% | 86,840円 |
70歳 | 42.0% | 92,300円 |

このグラフを見ると75歳までは、60歳から年金受給を開始した方がもらえる金額は大きいですが、82歳まで生きると年金受給開始は70歳からの方がお得という計算になります。
結論
では何歳から年金をもらうのが一番得か?
60歳時点でお金がなければ、60歳から年金を受給するしか選択肢はありませんし、お金に余裕があれば、年金を繰下げ受給したほうが良さそう。
当たり前ですね。
今回は60歳まで生きた人は何歳まで生きるか調べてみました。
厚生労働省に良さそうな資料がありました。
令和元年簡易生命表(男)
令和元年簡易生命表(女)
この資料に各年齢における死亡率が書かれています。
ここに書かれている死亡率はその年齢でなくなる確率なので、
60歳までの死亡率を足すと60歳までになくなる確率がわかります。
60歳までになくなる確率 | |
男性 | 7.6 % |
女性 | 4.2% |
残念ながら、男性のうち7.6%、女性のうち4.2%は年金を受け取ることなくなくなってしまいます。
60歳まで生きた男性は82歳になるとなくなる確率が50%を超えてきます。
60歳まで生きた女性は88歳になるとなくなる確率が50%を超えてきます。
そう考えると現在の繰上げ年金制度、繰下げ年金制度について、受給開始金額と生涯もらえる年金は適正なのではないかと判断しました。
各自その時のお財布と相談して判断すれば良いのではないかと思います。
強いていうのであれば、女性の方は長生きなので繰下げ受給をお勧めします。
100歳まで生きるライフプラン表を作成している私は、70歳から年金受給を開始することにしたいと思います。
国民年金基金について
今回の記事は国民年金の制度を理解するというのが、ゴールでした。
この先は別の公的年金・私的年金についての概要になります。
興味がある方は読んでください。
概要
国民年金基金とはフリーランスの方が国民年金の上乗せとして加入できる制度で、任意加入の公的な制度です。
国民年金は全ての20歳から60歳の国民が加入するものですが、国民年金基金は第1号被保険者(自営業・フリーランス等)が加入する年金基金制度です。
国民年金基金のメリット
・一生涯受け取れる
国民年金と同じように、65歳から一生涯年金を受け取れます。国民年金の上乗せになるので、老後の生活が豊かになります。
・現時点で受け取れる年金金額がわかる
掛金に応じて、将来受け取れる年金が決まります。
ですので、将来の予測がしやすいですね。
・税制優遇
国民年金基金の掛金は全額社会保険料控除の対象になります。確定申告により税金が軽減されます。
これは大きなメリットですね。
・プランが複数ある
国民年金は掛金や受け取る金額が一定ですが、国民年金基金はプランが複数あるため、将来設計に応じて掛金を変えることができます。
国民年金基金のプラン
国民年金の掛金上がくは月額68,000円です。1口目は終身年金A型またはB型から選び、2口目以降は7種類から自由に組み合わせて選ぶことができます。
A型
65歳から一生涯、年金を受け取れます。年金受給前もしくは保証期間中に無くなった場合、遺族に一時金が支給されます。
B型
65歳から一生涯、年金を受け取れます。遺族一時金はありませんが、その分掛金を抑えられます。
掛金をいくら払えば、65歳からいくら受給できるか調べる方法
これから国民年金基金に加入しようと考えている方は、自身が受け取れる年金額と掛金を国民年金基金ホームページでシミュレーションすることができます。
国民年金基金に加入しているが、受給額がわからなくなった場合
全国国民年金基金所在地にて確認しましょう。
厚生年金について
厚生年金の概要
第2号日お保険者(会社員や公務員)が加入する年金。厚生年金に加入していれば、国民年金に加え、厚生年金をもらうことができます。会社員は国民年金と厚生年金をまとめて勤務先が納付してくれます。
保険料の納付額は月給(標準報酬月額)の18.3%を負担することになっており、その半分は会社が負担してくれます。
厚生年金被保険者は会社の就業規則などに定められていれる所定労働時間、所定労働日数のうち、4分の3以上を満たしている従業員が加入します。
4分の3未満であっても、以下の条件に該当する場合は厚生年金の被保険者となります。
・雇用が1年以上にわたって見込まれている
・所定労働時間が1週間に20時間以上ある
・賃金が月額で8万8000円以上ある
・勤務している企業が常時501人以上である
・学生ではない
なお会社を退職して自営業者になった場合は、国民年金の第1号被保険者
配偶者の扶養に入る場合は、第3号被保険者へと変わります。
厚生年金の保険料は?
厚生年金は会社が支払ってくれるため、いくら支払っているか知らない方も多いと思います。保険料の納付額は月額(標準報酬月額)の18.3%を負担することになっており、その半分を会社が負担してくれています。つまり、給与の9.15%が給料から天引きされて年金を支払うことになります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)について
毎月一定の掛金を積み立てて自分自身で年金資産の運用を行う制度です。
積み立てた資産を引き出せるのは60歳以降というデメリットもありますが、大きな税制措置を受けられます。
iDeCoのメリット 3つの税制措置
1.掛金が全額所得控除
2.利息・運用益が非課税
3.受取時も一定額まで税制優遇
1.掛金が全額所得控除
所得税や住民税は、年収から各種控除を差し引いた課税所得をベースにして算出されます。
課税所得が大きいほど税金が高くなりますが、iDeCoでは掛金額の分、課税所得を小さくできるので、支払う所得税や住民税を減らすことができます。
2.利息・運用益が非課税
通常投資で運用益が出たり、利息がでたりした場合は約20%の税金がかかります。
しかしiDeCoで運用した場合、利益・運用益が出たとしても税金はかかりません。
3.受取時も一定額まで税制優遇
iDeCoは60歳から受取を開始できます。一時金(一括受取)か年金(分割受取)選択できますし、併用も可能となっています。どれを選んだとしても控除の対象となり、一定額まで税金がかかりません。
一時金(一括受取)を選んだ場合、退職所得控除を適用させることができます。
iDeCoのデメリット 条件が厳しい
1.60歳まで引き出すことができない
2.投資の上限金額が決まっている(そもそも加入できない人もいる)
3.元本割れのリスクがある
1.60歳まで引き出すことができない
iDeCoの最大のデメリットはこれです。
一部例外はありますが、原則60歳まで掛金や運用益を引き出すことはできません。
60歳までのうち大きな支出が発生する可能性があり、それに備えた蓄えがない場合は、iDeCo以外の資産形成を考えた方が良いかもしれません。
ライフプラン表において現金額が60歳までにマイナスになることがある方は要注意です。
2.投資の上限金額が決まっている(そもそも加入できない人もいる)
iDeCoは日本国民全員が入れる可能性がある制度ですが、中には少額しか拠出できない方、そもそも加入できない方がいます。自分がiDeCoに加入できるかはiDeCoホームページに書いてありますので、確認しましょう。
3.元本割れのリスクがある
iDeCoのデメリットでもあり、メリットでもある最大の特徴は、掛金を運用する金融商品を自分で選ぶことができることです。中には元本保証の金融商品もありますが、一般的には投資をして給付額を大きくしようと考えるのではないでしょうか。そうなると当然掛金に対して給付金が減ってしまうリスクがあります。どの商品を選ぶと、どれぐらいのリスクがあるか判断しながら投資できるように知識を身につけていきましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)と企業型確定拠出年金(企業型DC)の併用
個人型確定拠出年金(iDeCo)と企業型確定拠出年金(企業型DC)の併用は2017年1月の法改正によってできるようになりました。
企業型確定拠出年金にマッチング拠出の制度がある場合は加入することができません。
一方で、会社がiDeCoに加入することを認めていて、企業年金の制度がない方は月額2.0万円、企業年金に加入している方は月額1.2万円までなら個人型拠出年金まで掛金を設定することができます。
併用したい方は、会社の給与担当にiDeCoへの加入資格を確認しましょう。
最後に
以上で年金制度についての説明を終わりにします。
日本には今回書けなかった年金制度が多数存在します。
もしこの年金について制度をまとめてほしい等ありましたら、コメントをいただければと思います。
不明点や質問、感想など下記問い合わせフォームから質問していただけると嬉しいです!